日韓に暮らす50名の脱北帰国者から聞き取りをした証言記録集は、作業が大幅に遅延しておりましたが、5月にようやく第一草稿を出版社に提出しました。「記録する会」の活動を長らくご支援、ご協力してくださった皆様に、公刊に向けた作業の進捗状況をご報告いたします。
(1)確認作業
現在、証言していただいた50名お一人お一人に、以下のような確認作業を進めております。
・生年や出生地、お名前、北朝鮮への渡航年、配置先などの個人情報を公開してよいのか。
・証言した内容の事実確認。
・提供していただいた写真や手紙などの資料の公開の可否。
7月に記録する会のスタッフ3人が渡韓し、約2週間に渡って韓国在住の25名の証言者に会って、確認作業を完了いたしました。現在、大阪、東京在住の7名の方への確認作業が残っています。


(2)草稿の出来具合
第一次草稿は、出版社の編集担当者、記録する会の学術アドバイザーの研究者から、「大変な労作であり、世に残すべき貴重な内容」「素晴らしい。知らない話が沢山あり、歴史的価値の高い本になるはず」「深く感銘を受けており、大変勉強になった」など、望外の高い評価をいただきました。確認作業を踏まえて草稿を加筆修正します。
(3)今後の日程
・第二稿
加筆修正、推敲した第二稿を、8月末をめどに出版社に入稿します。証言、協力いただいた方たちから提供を受けた写真や手紙なども多用します。
・校正作業
第2稿をもって編集部と校正作業に入ります。作業は「2往復」で3か月ほどかかる見込みです。
・公刊
残念ながら出版社の年内の刊行予定が既に埋まっており、本書の公刊は「2026年春」になる予定です。
「記録する会」が一般社団法人として発足したのは2018年8月。これまで7年の歳月を要したことになります。コロナ禍があったとはいえ、聞き取りと音声起こし、編集作業に想定をはるかに超える時間がかかってしまいました。ひとえに私共の力量不足に因るものであります。作業の大幅な遅延をお詫び申し上げます。作業は公刊に向けた最後の段階に至りました。皆さまの厚いご支援、ご協力を裏切らないよう、ラストスパートで、最後の直線を走りぬく所存です。
2025年8月 北朝鮮帰国者の記憶を記録する会